FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ブラック・スワン  ロマン・アロノフスキー

物語の核心に触れるかも。
触れないつもりで行きますが、きゃーこの人触ったわよーって言われる可能性もあるので、予め書いときます。












ブラック・スワン
先日『ブラック・スワン(Black Swan)』(ウィキペディアはネタバレなので要注意)を観てきました。場所はシネマフロンティア。客はたくさんです。監督はダーレン・アロノフスキー(舌回らない)。もはや売れっ子ですね。役者は永遠の優等生ナタリー・ポートマンと、世界三大チンピラのヴァンサン・カッセル。そして映画『ザ・ウォーカー』(過去記事)でホワイト・スワンのような少女を演じミラ・キュニス。年老いたプリマにウィノナ・ライダーです。
時間がなかなか合わなくって、観たい気持ちがどんどん盛り上がって行く中、ちょっとネットやらで下調べしちゃおうかなあ、なんていう欲求が膨らんできましたが、それに打ち勝ち、無事先入観なしで、情報を入れずにまっさらな頭で観に行くことが出来ました(だからこんなに怖いとは思わなかった)。


わし的ストーリー
メンヘラ女のニナ(ナタリー・ポートマン)は母親の影響もあって、バレエに生活の全てを捧げている。
ある日、彼女が所属するバレエ団で、『白鳥の湖』をやるということになった。スケベ監督のトマス(ヴァンサン・カッセル)は主役のプリマを選ぶべくオーディションを開くが、ニナはもう少しのところで落選する(ちなみにプリマとはハムのことじゃあなくて主役のこと)。
納得がいかない。オーディションでは完璧だった。ミスもなかった。誰よりもうまく踊れた。なのになぜ私が選ばれないのか。それには理由があった。
『白鳥の湖』のプリマは二役を演じなければならない。清らかな心の持ち主で、汚れを知らない清純なホワイト・スワン役。そして男を誘惑し、欲望のままに行動するブラック・スワン役である。ニナが演じれば、ホワイト・スワンはまるで問題ない。ハマり役だし、右に出る者はいない。だがブラック・スワンができない。ニナの性格、経験から来る踊りのクセが、ブラック・スワンからは程遠く、演じても説得力もないし、迫力もないのだ。ブラック・スワンのハマり役は同僚のリリー(ミラ・キュニス)だった…。
それでもバレエが生活の全てであるニナは諦めきれず、監督のもとに懇願に行く。なんとしてもプリマをゲットすべく、化粧もバッチリ決めた。その甲斐あって、スケベ監督からキスされるが、逆に唇に噛みついてしまう。
「痛てえ、でもキミ! それ良いよ!」
ということで、なんとかプリマをゲットしたものの、自分はもっと悪女にならなければならないという強迫観念にとりつかれる。男を誘惑したり、性的な喜びを得なければならない。じゃなきゃリリーに追い抜かれる。快楽を求め、自由奔放に生きるべく自分を変えなければ。ニナは本当の自分を徐々に見失っていく。白鳥なのか黒鳥なのか。王子なのか監督なのか。私なのか白鳥なのか。リリーなのか私なのか。やがて、一人二役を演じているのはバレエなのか、現実なのか曖昧になって行く…。


感想
まず、開始10分、いや5分くらい(測ってなかった)であることを思いました。多分、観たことがある人ならみんなわかってくれると思うんですが、「これ『パーフェクトブルー』だろ」です。
どこで思ったかと言うと、列車のシーンです。あの構図、ほとんど『パーフェクトブルー』のまんまですよ。ただし自分は話しかけてこないですけど。開始5~10分でそう思ってからというもの、それ以降ず~っと、事あるごとに
 「これも『パーフェクトブルー』」「あれも『パーフェクトブルー』」「ここは『イヴの総て(All About Eve)』」
と思うようになってしまいました。具体的にどこかを言うとネタバレになってしまうからやめておこうと思いましたが、軽く言います。まず絵がね、壁に飾ってある絵が・・・。『パーフェクトブルー』でもありましたよね。モロパクリってのはガラスね。それ『パーフェクトブルー』です。あと先輩プリマはあれ『イヴの総て』です。あの性格に問題アリのベスってのはベティ・デイヴィスじゃあないの~(まあでもスペルbethかな)? 宴で新人紹介するとこなんて、まんまですよ。
 てな感じで、終始こんなことばっか考えてるもんだから、ストーリーにグッと惹かれるってことはなかった。逆に言うとそんなにシナリオに力があるとは思えない。まあ考えてみると『レスラー(The Wrestler)』と似てるっちゃあ似てる。なにかに生活を傾けてる人間の生きる場所を描いたって言う点でね。だからなんていうかなあ、この映画結構絶賛してる人多いですけど、わしが良いなあと思えたところは一部の演出だけでした。それは、アンビリバボー恐怖映像特集的演出です。
 どういう演出かっていうと、見せたい部分をあえて客に任せる演出です。当たり前ですが、演出家っていうのはその場面(シーン)で起こってることを映像で客に伝えるというのが仕事です。だから、時計の針が12を指したことを伝えたかったら時計のアップに画面を切り替えるし、信号が赤になったことを伝えたければ赤信号のカットを挿れます。簡単です。伝えたい個所にカメラを寄せたり、アップで映したカットを挿むんです。しかしこの映画、それと逆のことをしてました。あえて寄らないんです。カットも挿みません。そういう演出のシーンが何カ所かありました。ニナが誰もいないアパートで部屋を開けると壁一面に絵が貼ってあって、ニナはそれに目をやってすぐ部屋から出ます。でもカメラは彼女を追わず壁の絵に向けたままで、すぐにシーンが変わります。でもこのほんの1秒にも満たない部分、彼女が部屋から出て行った後の壁の絵を映す時間、そのわずかの間に絵の一部が動くのです。アップもなしカットインもなし、効果音もなし。まるでですね、「おわかりいただけただろうか・・・」って声が聞こえてくる感じなんですよ。わしはこの演出、ゾッとしました。あれ? 今動いたよな? って聞きたくて聞きたくてしょうがない感じになりました。
で、実はこういう演出がこの映画けっこう多くて、上手いなあと思いました。以前紹介した『シークレット・サンシャイン』(過去記事)でも同じ演出箇所があって、確か部屋で子どもの話をこっそりしてるんだけど、子どもが自分の部屋のドアを開けて聞き耳たてているっていうのを寄りなしで流してたと思います。だから気付かない人もひょっとしたらいるかも知んないけど(ちゃんと観てれば気付く)、気付く人にはより響くというか、なんていうか「引きの演出」ですね。
他にも鏡で自分を眺めるシーンも印象的でした。以前から鏡はスリラー要素で非常に重要だと言ってきましたが(まさにビンゴでうれしい!)、やってくれましたね~。『何がジェーンに起ったか?』(過去記事)で書いたのと一緒で、鏡は女性の心理の象徴です。そこに映るものが何か、という恐怖もありますが、鏡という常識、必ず反射するという常識を覆されたときに生じるズレや、あるいは常識がズレるのではという緊張感がスリラーを引っ張って行きます。この映画では本当に、ちょっとだけズレてました。ですがそれもアンビリバボー的演出で、「おわかりいただけただろうか」って聞こえました。

ただ、こういった「引きの演出」とは全く180度違う、過剰な演出もありました。好き嫌いと言ってしまえばそれで片付いてしまうが、わしはハッキリ言ってダサいと思いました。それにラスト付近でそれをやってくるもんだから、一気に今までのトーンが崩れ落ちました。これが『パーフェクトブルー』なら良いんですよ。アニメだから。これは実写ですからね~。そこまでやっちゃうと、お笑いになってしまう。ニナのイッちゃった脳内での映像だから、変換されてそうなってるっていうことで、いわゆるメリハリをつけたくてやったんだろうけど、それはポップコーンムービーでやってほしい演出ですよ。それにラストはあのデーモン小暮みたいなメイクだけで充分メリハリついてますし。だから、あのホントのラストの舞台、ターンしてターンして翼になって…、じゃあなくてさ、ターンしてターンして、でも影だけは翼になってるっていうので良かったんじゃあないかなあ。あ、鳥の脚は笑った。

他に特徴と言えば、カメラワークと音ですかね。まずカメラワークですが、サクッと書けば手持ちのグラグラ撮影と人物のクローズアップ多用。要するに安っぽいけど、わざとそうしてる。ドキュメンタリータッチってやつ。その証拠として、移動シーンをカットしないですね。手持ちで人物の背後から追って行って、部屋に入る。そこで他の役者とのアクションがある。それをまあ長回しで1ショットで回す(カット挿んでも一連の流れに沿ってる)からある種の緊張感というか、本物っぽさが生まれる。マイケル・ムーアの突撃取材を観ているような気分になる。
もう1つは音。ダンスのシーンでもカメラが寄って、息遣いと床を滑る音を生々しく拾ってました。キュッキュッ、ハァハァ、ってな具合。観客は踊りを客として観るのではなく、踊っている側としての観ることになります。これらは『レスラー』から引き継いでいて、まるっきり同じ演出方法です。


まとめ
この映画、全くオリジナリティや新鮮味がなさそうなくせに個性的でした。ウィキペディアには、監督本人の話として『リプルション~反撥~』や『テナント/恐怖を借りた男』が大きな影響を与えた作品だと書かれています。確かに幻覚と現実の区別がつかなくなったり、自分が他人と入れ替わって行くというのは同じですし、撮影も似てます。まあサイコスリラーだから必然的にカメラワーク・構図は近くなるんですよね。
それとやっぱりどう考えても『パーフェクトブルー』からかなりの影響を受けているし、演出面だけじゃあなくシナリオ面でもかなり参考にしてますよ。まあリメイク権を持っているとかそういうのがあるから放置でいいんだっていうものなのかもしれませんが、今敏さんに捧げますぐらい出してほしかった。タラちゃんだってやってるんだよ。
 他にも『ファイト・クラブ』や『アマデウス』、『シャイニング』が思い浮かんだ。特に物語後半はほとんどお化け屋敷的な、ビックリ箱の連打だから『シャイニング』っぽい。ただホントに怖いし、引きが上手い。ここでは書かなかったけど、お母さんが…。あ、いない・・・。うわ、いたー、ってとこなんか笑えるぐらいビックリした。あそこは、あ~くるくる~って思ってて来なくて、一瞬安心したんだよ。でも、いや待てよ、まだ油断するなって脳が指令を出したのと同時にきたから、時すでに遅し。って、気になる人は是非劇場で。周りが言うほど完璧じゃあ全然ないし、シナリオも別段優れているわけではないです。現実と幻想の境目とかなら他にも腐るほどありますし。でも観て損はないです。まあ観て損な作品なんてほとんどないですが。

ちなみにわしが最初に買ったDVDはなぜか『アマデウス』だった。


ブラック・スワン  公式です。
ザ・ウォーカー  amazonです。
パーフェクトブルー  amazonです。
イヴの総て  amazonです。
レスラー  amazonです。
シークレット・サンシャイン  amazonです。
何がジェーンに起こったか?  amazonです。
リプルション~反撥~  DVD Fantasiumです。
テナント/恐怖を借りた男(VHS)  amazonです。
ファイト・クラブ  amazonです。
アマデウス  amazonです。
シャイニング  amazonです。

ずいぶんイッパイだな 気持ちイイや


ブラック・スワンの続きへ行く


スポンサーサイト

theme : 映画感想
genre : 映画

comment

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

ホモルカ

Author:ホモルカ
札幌在住。おとこ。
ボケ防止でブログ開始。
ボケ担当。
学校で映画を勉強。
でもブログは好き勝手書くよ。
映画について質問あればコメントくださいな。

カレンダー
11 | 2018/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
にほんブログ村
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村
最新記事
カテゴリ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

最新トラックバック
最新コメント
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。