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ダーレン・ポランスキー  ブラック・スワンの続き

前回『ブラック・スワン』(過去記事)についてサクサクっと書いたんだけど、別に批判してるってわけじゃあなくて、たんにプロット自体はそこらじゅうによくある話だってことと、それを描いていくシナリオそれ自体もさほど力はないってこと。簡単に言えば、そんなに上手い話しじゃあないってことね。
でもそれって、わしは批判してるつもりじゃあないんです。
プロットがありきたり、展開が読めるっていうのは、それこそ映画をたくさん観ている人なら誰もが感じることで、それは今作じゃあなくとも、あらゆる作品を観ていくうえでその度に感じることでもある。もちろん感じさせない作品に出くわすことだってあるが、そんな体験は映画史が100年も続いてしまった今ではごく稀であるわけ。
大切なのは、どう構築していくか。・・・だと思う(弱気)。ありきたりなプロット。テーマ。展開。それをどう見せていくか。どう伝えるか、だ。

まずこれらテーマなどについて、映画って大雑把に言って2つに分けることが出来る(極論ね)。
直接描写して見せるか、観客に考えて感じさせるか、の2つ。
直接描写する場合、大事なのは演出力になる。感じさせる場合は、シナリオの妙が重要になる。
『ブラック・スワン』はというと、直接描写するタイプの映画だ。主人公ニナが観るもの、感じること、行動すること。それはすなわち、観客が映像を通して直接観ているものである。ニナが体験していくことを観客に疑似体験させることで、この映画は進行していく。華やかの舞台も、そこにたどり着くまでの苦労も、日々の悩みも葛藤も、性への目覚めも、母親との微妙な関係も、全て映像に映っている。
だから、それをどう見せるのかが重要になってくる。
説得力を持たせるよう細部まで緻密に作り込んでいったり、あっと驚くような仕掛けを用意したり。

ダーレン・アロノフスキーはとても上手く演出していたと思う。全ての演出に意図を感じたし、方向性もぶれていなかった。
方向性と言うのは、今作で言えば、不安定さである。ニナの精神の不安定さをいかに演出で表現するか。画面の揺れや、サブリミナル、音、メリハリのある演出(わしはやりすぎに感じたが、意図は汲み取れる)、画面の明暗や構図、タイミング。何がフレームインしてきてもドキュメンタリータッチである以上、嘘じゃあないような気がしてしまうという演出(アンビリバボー的演出)。実に見事だと思う。

だからこの映画は面白かった。そしてすっごく怖かった。
シナリオで驚かせることはない。それを必要としていないから。
でも、CMや予告、耳をふさいでても入ってくる情報を集約すると、もっと何かとてつもない内容が詰まった映画なのだと想像してしまう。わしのまっさらにしたつもりの頭にも、最低限の情報と雑音で映画の方向性を決めつけていた嫌いもある。それを踏まえて観たうえで、先日の文章になる。
CMや宣伝や周囲の声とは違うタイプの作品だったということだ。映像が全て語っている。直接描写されている。これらの作品への最大の誉め言葉は、「面白い」だ。無論、わしはこの映画を面白いと思ったよ。


では逆に、直接描かずに観客に考えて感じさせる映画とはなにか。
それは、メタファーが多い作品。映画に映るものが色々なものに置き換えられることで、初めてカタルシスが得られる作品。
わしが思うに、例えばフェデリコ・フェリーニの『道』とか『甘い生活』(フェリーニ作品はこの手のが多いと思うよ)。ヒッチコックの『めまい』なんかもそうだと思う。あと、ヘンテコ映画にもこういうのは多い。う○こ食う『ソドムの市』とか。邦画で言えば、初期の森田芳光の映画『家族ゲーム』とか(初期作のが良い)。
これらも基本的には疑似体験させていくが、それによって得られる情報だけでは大した意味をなさないという傾向が多い。まあ例えば『ソドムの市』でう○こ食うのは直接的な描写でそのままの解釈もできるけど、実のところ人間がいかに欲深いかを暗示しているというシーンでもある。
重要になるのは、シナリオ、ちゃんと言えば脚本になってくる。どんな展開か。そしてそれが何を象徴しているのか。そしてその展開がどんなにパワーを持っているか。う○こを食うぐらいの力は持っていなくてもいいが、どれだけ客にインパクトを与えるかは重要になってくる。誰が、何をしたか。何を喋ったか。何が置いてあったか、飾ってあったか。それら全てに意味があり、表面だけではないメタファーの部分で構成された脚本。非常に上手く徹底して巧妙に書いていかなければならないわけ。
『ブラック・スワン』はこっちではないでしょ。完全にどっちとかってのはないけど、やはり直接的なほうだ。逆に『甘い生活』ってのはとことんこっち系で、最初から最後までメタファーで構成されている(よな気がする)映画。午前10時の映画祭でも上映するみたいなんで、今度このブログで紹介してみようかな(軽いノリで)。その時にまた詳しく説明してみようと思います。


ま、これだけは言える。『ブラック・スワン』は劇場で観るべき。是非逃げ場のない状況で観てほしい。それに音と映像はすごいからね。も一つだけ言うなら、是非ロマン・ポランスキーさんの映画(初期の方)も観てほしい。え? 『戦場のピアニスト』? それはそのうちでいいよ。


ブラック・スワンの過去記事へ行く



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札幌在住。おとこ。
ボケ防止でブログ開始。
ボケ担当。
学校で映画を勉強。
でもブログは好き勝手書くよ。
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